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八風

日時: 2016年01月12日

遠藤 乃倫子

新年明けましておめでとうございます。
旧年中はたくさんの方にお世話になり、心より感謝申し上げます。

2016年が始まりました。
年間通して、いつも思うことは、今年も頑張ろうです。
ですが、人生山あり、谷ありというように、毎日の中にも、毎月の中にも年間通しても、良い時もあれば、自分にとって少ししんどいなと思う時もあります。
これが、俗にいうバイオリズムかと思う時もありますが、でも、それで片付けてはいけない。
全ては必然であり、起こるべくして起こっています。
毎日、毎月、毎年新しい毎日がやってきます。

自分がどう生きたいか、どうしていきたいかという志が揺れたり、ふっと消えた時、見えなかった時が、一番自分にとっての試練が起きてくれるのだと思います。

あえて、試練が起きてくれるという言い方をしますが、それは、人生は必然で、どんなに頑張っていてもうまくいかない時もあり、例えば幼い生まれたばかりの子が親の勝手で死に至らしめられる程の事件をニュースでみると、人生は自分で決められないのかと悲しくなります。

だからこそ、今、子を持つ親としても、会社で管理職を担う年代となり、家庭でも社会でも、ここまで成長させて頂けて、頑張れてる事がありがたく、この先をどう生きていくのかを真剣に考え、懸命に1日1日を過ごさせて頂く必要があるのだと思います。

必然でも自分でどうにも出来ない赤ちゃんではないので、起きた事、起きている事に対して、自分の意志をしっかりと持ち立ち向かっていく強さを持たなければいけないと思いました。
グリム童話で『北風と太陽』は有名です。
風と太陽が、旅人のコートを脱がせる為に競うのですが、どんなに冷たい風を吹かせても旅人は頑なにコートを閉ざし、太陽の温かさがコートを脱がせます。
今までは、北風は冷たく、太陽の温かさが勝ちだと思っていましが、見方を変えれば北風も風の吹かし方次第で、また太陽と協力すればもっと違った脱がせ方が出来たのではないかと思います。
人生にはたくさんの風があることを知りました。
いい年になってきて知ってるつもりで、知らないことだらけを知りました。

仏教に八つの風のお話があります。

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『八つの風』

「ええい、ままよ、あしたはあしたの風が吹くさ」とやけっぱちでいう人がいる。
では、明日はどんな風が吹くかと聞いてもわからないからなさけない。

「上州名物かずかずあれど、かかあ天下に空(から)っ風」というように、突風や北風は人の身も心も寒くする。
だが、南風やそよ風と聞くと、心がほのぼのとしてくる。

そんなにも、風は人の心を動揺させるのである。

仏教では揺れ動く人の心を、特に「欲望」という煩悩の心を、「八風(はっぷう)」といって、八種類の風にたとえている。

その一は「利(り)」という風である。
世の中で、やることなすことすべてうまく行くときがある。
息子は国立大学へ一度で合格し、娘は有名高校に入り、妻も祖父母も健康だし、
自分の経営する会社は笑いが止まらないほど儲かっている。
覚えがある方もいらっしゃるだろう。
このときは、利益(りえき)という風が吹きまくっているのである。

そのニは「衰(すい)」という風である。
このときは、誰もがしゅんとなるときだ。
どんなに頑張っても、なにをやってもうまく行かない。
会社の売り上げは悪いし、おまけに息子が怪我をする、おばあちゃんは入院する。
これも思いあたる人がいるだろう。
このときは衰の風が吹いているから仕方がない。

その三は「毀(き)」という風である。
他人から、かげで非難・攻撃されるときである。
どうしようもないから、こういうときは放っておくしかてがない。

その四は「誉(よ)」という風である。
ほまれあること、かげでほめてくれることだから、ありがたく喜んでいればよろしい。

その五は「称(しょう)」という風である。
これは、目の前でほめられることだから、お世辞が入っているかもしれない。
気をつけるべし。

その六は「譏(き)」という風である。
譏は、そしることである。
それも、面と向かってそしってくれる。
聞けば腹は立つがよく考えると心底からいってくれているので、とてもありが
たい人である。

その七は「苦」という風である。
すなわち逆境のことである。
こんなときは、決して悲観してはならない。
希望を持つことである。

その八は「楽」という風である。
すなわち順境のことである。
このときは、有頂天になって自分を過信したり、人のことを馬鹿にしたりしてはならない。

これらの「八風」は、人の心を強く揺り動かす。

しかし、「八風吹けども、動ぜず天辺の月」というのがある。

「この地球上で、どんなに大風が吹きまくっても夜空を照らす月はちっとも動じない」
という意味だが、この月のように動じない哲学と信念を持ってもらいたいものである。

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自然界の風がいつ吹くか分からないように、八風もいつ吹いてくるか分かりません。
自分から風を起こすことも多々あります。
北風と太陽の風のように、吹かせ方を変えれば、また太陽と協力すれば何かが変わるように、自分が起こす風も起こし方次第で、心地のよい、相手にとっても自分にとっても良い風を吹かすことが出来るのだと思います。

春の風はとても気持ちが良い。
暑い夏に吹く風は、暑さを和らげてくれます。
秋の風も涼やかで心地がいい。
冬の風は、曇り雲や落ち葉を飛ばしてくれます。

物事は考え方、見方を変えればいくらでも変わっていきます。

セレンディピティという言葉があります。
『運命の扉を開く奇跡のような偶然の出会いをキャッチする能力』という意味で使われることが多いようなのですが、もとはペルシャのおとぎ話で、旅の途中で遭遇する困難を三人の王子たちが不思議な偶然によって乗り越えていくという「セレンディップの3人の王子』というお話からきているそうです。

要は日常の中で自分を良い方向に導く出来事に気づく能力という事です。
どんな事が起きていても、それは自分を良い方向に導く為の出来事で、それに気づき、自ら良い風を吹かしていくことが大事なんだと思いました。

「八風吹けども、動ぜず天辺の月」
自分の志をしっかりと持ち、信念に従って今年1年、良い風を受け、吹かせるよう心耳を澄まし2016年、社の発展と皆様の幸せ、家族の幸せ、自分を磨く事に全力で向かいたいと思います。

本年もどうぞ宜しくお願い致します。