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祖母の教え

日時: 2015年03月26日

平 美穂

3月の彼岸が過ぎ、いよいよ春の到来が肌に感じられるようになりました。
彼岸に、母方の田舎へお墓参りに訪れた時に、優しく言葉少なかった祖父と、反対に常に自分と周りに厳しかった祖母のことを思い出しました。

早くに亡くなった祖父に代わり、祖母は13年前に83歳で亡くなるまで、農業、酪農をしながら本家である「家」を守り、苦労続きの人生を送りました。
私 は幼い頃、祖母から起床してから寝るまで、箸の上げ下ろしなど、生活習慣全てにおいて、両親よりも厳しくしつけられたので、毎年、夏休みや冬休みに弟と二 人だけで、電車で3時間かかる、祖母のいる田舎に預けられるのがつらく、小さい頃は憂鬱な思いだったのを思い出します。

しかし、厳しいだけではなく、一緒に畑仕事をしたり、お餅をついたりという田舎らしいのびのびとした体験をさせてくれたり、深い皺の中から見せてくれた笑顔など、私が初孫であったせいもあり、とても可愛がってもらった思い出もたくさんあります。
また、小さい頃は厳しいと感じていた躾も、成長するにつれて、お茶の入れ方、ふすまの開け閉め、掃除の仕方など、本当に常識的な当たり前のことが出来るようにと、私のことを考えてくれてのことだったのだと感謝できるようになりました。
祖母の晩年は長年働き続けた影響で体のあちこちを骨折し、それでも弱音を吐かずリハビリを続け、自分で歩こう、家事をしよう、と動き、また転んで骨折するという繰り返しで、家族が止めても聞かず自分の意志を貫くような、信念の強い人でした。
最近、そんな祖母を思い出すような本を読みました。
そ れは、「女子の武士道」(石川真理子 著書)  という本で、著者が武士の娘であったおばあ様から教えられた、数々の言葉が紹介されていて、それらは「人 としての心得」「女性としてのありかた」がまさに、武士道であったこと、武家の娘の矜持そのものであったということが書かれていました。
さらに「祖母が逆境を生き抜くことができたのは、いかなる艱難辛苦にも平常心で臨むという勇敢果敢な武士道が芯にあったからにほかなりません。」と書いてあり、時代や環境は違っても昔の女性は芯が強く、厳しい環境を耐え、家庭や家族、社会を支えていたのだと思いました。
その本の中では、著者のおばあ様が「娘として、結婚してからは妻として、母親として、また仕事を持つ女性」として、武士道のみならず5歳から学ばれていた論語からも得られた心得が紹介されてありました。
その中で、著 者のおばあ様は、幼いころから武士であるお父様から、武士道や倫理道徳を習われていて、毎日の生活や考え方の指針とされてきましたが、時代が変わり戦争で 景気が悪化し民衆の心がすさんで、世の中が騒然とし、習われてきたことが世の中で通じなくなってきたときに考えらたことがとても私の心に響きましたのでご紹介します。

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世の中がそんなふうになると、かえって父の教えの正しさがわかるようになったものです。

でたらめが通る世の中で義を守り徳の道を選び取ることはさぞ辛かろう。

しかし、おのれがその道を捨てたその時が、ほんとうの世の乱れが始まるのだと思え、と。

どんな世の中であろうとも、まっとうな人生を歩むかどうかは自分が決めることですからね。

真の世の乱れを我とわが身に受けるのは、結局のところ父の言うとおり自分が非道を選んだときからでしょう。
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どんなにまわりの状況が変わっても、自分が信じるもの、信念というものを曲げずに覚悟を持って生きていくという潔さが素晴らしいと思いました。
さらにおばあ様は、そのような騒がしさに遭われた時に心を落ちつけるために「書」や「茶道」に没頭されたのだそうです。

武士道では茶の湯について『茶の湯の基本である心の平静さ、感情の静謐さ、立ち居振る舞いの落ち着きと優雅さは正しき思索とまっとうな感情の第一要件である。』と説かれているそうです。
ただ黙々と歩いたり、無心になれるものならなんでもよく、怒りや悲しみを抱いている自分から、一時期離れて自分自身がよくみえてくると、思いに振り回されることがなく落ち着いてくるのだと書かれています。
私達の日常には心を乱す種がまかれてあり、その都度、感情のままに振り回されては疲れてしまいます。
仕事やプライベートなど、周りで起きる事は全て、必然なことで、どのような嫌な事が起きても、これは自分が試されているのだ、成長するためのチャンスだと、考えを切り変えようと思っても、未熟な私は、その流れにのまれてしまう事があります。
現代での生活は、著者のおばあ様や、私の祖母が生き抜いてきた時代に比べたら、何十倍も便利で自由です。
それなのに、弱音を吐いたり、少しくらい思うようにいかないから、といって周りのせいにしたり、逃げ出す事は自分の人生を自らがつまらないものにしてしまうのではないか、と思いました。
日常が穏やかなときはそのことに感謝し、なにか事が起きたときは心を強くもち、信念がぶれることのないよう、対処できるように常に平常心でいられるように学び、義を守り徳の道を選び取ることを実践し自分を鍛えていきたいと思います。
その繰り返しが自分を強くし、鍛え続けることで、自分を強く持ち、人生を豊かにして「まっとうな人生」を歩めるのだと思います。
祖 母や祖先が残してくれた教えを学び直し、日本人として生まれたことを誇りに思い、祖先に恥ずかしくないような人生を送っていかないと現代を生きる1人とし て、申し訳ないと思います。そのような姿勢が子供達や周りの人にいい影響を与えられるように、日々訓練をし続けていきます。



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